「英語を話すときに単語力不足を感じた」と言う経験はありませんか?
これまで数百名の生徒の英語学習をサポートしてきた中でもこのお悩みを持っている方がいなかったことはありません。
しかし、不足しているのは「知っている単語の数」ではなく「使える単語の数」なのです。
生徒の皆さんには、新しく単語を覚えていただくのではなく「知っているのに使えていない単語」を使えるようにする学習に取り組んでいただいた結果、多くの方が「使える単語は増えた」とおっしゃってくださいました。
この記事では、「単語力」について深ぼって解説し、具体的に「使える単語を増やす方法」と、いざという時の対処法を紹介します。
「単語力」の種類
「単語力」は大きく括ると2種類の単語に分けられます。
「受動語彙(Passive Vocabulary)」と「能動語彙(Active Vocabulary)」の2種類です。
「受動語彙(Passive Vocabulary)」とは、「聞く・読む」ときに必要な単語の知識です。
「聞く・読む」ときに知識としての単語が不足していると、内容を理解することが困難になります。
もう一方の「能動語彙(Active Vocabulary)」とは、「書く・話す」ときに使いこなせすことができる単語です。
「読める漢字」と「書ける漢字」、「知っていること」と「できること」に差があるように、多くの人は「能動語彙(Active Vocabulary)」の方が少ないです。
「単語力不足」の正体は?
英語学習を始めた方、英会話をしていると「単語力不足」を感じた経験は多くの方があると思います。
先ほども触れましたが、自分の「単語力不足」はどちらの語彙力が不足しているのか見極める必要があります。
次のいずれかの場合、「受動語彙(Passive Vocabulary)」の方がそもそも不足している可能性があります。
- 英語を聞いた後、文字で内容を見ても分からない単語が多くて内容が理解できない。
- 英語を読むとき、分からない単語が多すぎて内容が理解できない。
一方、次のいずれかの場合、「能動語彙(Active Vocabulary)」の方が不足している可能性があります。
- 英語を自力で書くときに単語が思いつかないが、調べたら知っている単語だった。
- 英語を話すときにぴったりの単語が思いつかないが、相手から単語を引き出したら知っている単語だった/ 調べたら知っている単語だった。
英会話における「単語力不足」の正体は、「能動語彙不足(Active Vocabulary不足)」であることが多いです。
自分の単語力不足がどちらなのかによって、取り組む学習法が異なります。
単語不足を感じて、学生時代に使っていた単語帳を引っ張り出してきて、テキストの頭からやり直す学習法は非常に効率が悪いのでやめましょう。
「私には単語が足りません」の一言で片付けず、もう少し深く考えて思い出してみてください。
「単語力」を伸ばすための学習法
受動語彙(Passive Vocabulary)を増やす
「受動語彙」を増やすには、「インプットのサイクルを短い期間で反復」しましょう。
「受動語彙」の場合は単語を知識として「知っている」だけ十分です。
なので、その語彙を聞けるようになるには「単語の意味・正しい発音」を学習します。
単語を読めるようになるには「単語の綴り・意味」を学習します。
一度だけのインプットでは、脳の短期記憶にのみ保存されて長期記憶に定着しません。
短いスパンで何度も単語に触れることで脳に「これは重要な情報である!」というメッセージを送る必要があります。
目安としては、7日間で同じ100単語に触れ続けます。
あくまでも「触れる」なので単語帳であれば、学習範囲を決めて、1単語10秒ぐらいで綴り・意味・発音を確認します。これを7日間毎日繰り返します。
100単語であれば、16分ほどで一周できます。
やってみると分かりますが、初日に学習を始めたときと7日目では覚えている単語数に変化があるはずです。
日常会話のための受動語彙を増やしたい場合、実用英語検定の3級〜準2級程度の語彙を学習すると一通り必要な語彙力がつきます。
仕事やビジネスシーンでの受動語彙を増やしたい場合、実用英語検定なら2級〜準1級、最低でもTOEC L&R 800点程度の語彙を習得しましょう。
金のフレーズなど、TOEIC向けの教材がたくさん書店で用意されているので聞ける・読めるようになりたいものに合わせて学習をしましょう。
日常会話・ビジネスよりもさらに専門的に「生物学」などの語彙力を付けたい場合、広く浅く取り扱っている教材よりも「生物学」に特化したもの題材にしたものを選ぶと効率がいいです。
能動語彙(Active Vocabulary)を増やす
「能動語彙」を増やすには、「使えるようになりたい単語を繰り返し使ってみる」ことをしましょう。
「受動語彙」と違って「能動語彙」は「知っている」だけでは不十分です。
必要な単語を必要なタイミングで即座に「使える」ようにするには、当たり前ですが使わないければなりません。
書ける漢字を考えてみると分かりやすいです。
皆さんは花の「バラ」や「ゆううつ」を漢字で書けますか?
書くことができる方ももちろんいらっしゃると思います。
僕は両方とも読めますが、いまだに書くことはできません。
それは「書けるようにしよう」という意識を持って書く練習をしたことがないからです。
英単語も同じです。
例えば、contribute (貢献する) という単語を覚えて使えるようにしたいとします。
「contribute = 貢献する」と、意味を反復するだけでなく、自分ゴトの例文にしてアウトプットすることが大切です。
例) I want to contribute to preserving the environment.
(私は環境保護に貢献したいです)
独学で能動語彙を増やしたい場合、例文をいくつか作ってみて、chatgptなどの生成AIに例文を添削してもらうのも手です。
オンライン英会話を活用している方は、実際に会話の中で咄嗟に使えるかどうかなど、より実践的な場面で試してみるのも良い学習方法です。
会話でドンピシャの単語が出てこない時の対処法
ドンピシャの単語が見つからない多くの場合、以下のパターンに当てはまることが多いです。
- 思い浮かべている日本語が自分の英語の語彙力に対して難しすぎる
- そもそも英語にない表現
- そもそもドンピシャの単語を知らない
ここでは、①と②に対してドンピシャの単語が会話のときに思いかばない時にできることを2つ紹介します。
元の日本語自体を頭の中で言い換える
頭の中で思い浮かべている日本語が難しいすぎる場合、日本語そのものを簡略化してみましょう。
これは、日本語を簡単にすることで、それに伴う英語も必然的に簡単になるからです。
簡単な英語ではカッコ悪いのではないか?という意見もありますが、本当に大切なのは
『カッコいい英語を話す』→『自分の意見をしっかり相手に伝わるように伝える』
日本語を簡単にするポイントとしては、「小学校1年生の子どもに伝わる日本語」を意識することです。
例えば、「購入(Purchase)」という単語が思いかばない場合、小学校1年生に「購入」を別の言い方で伝えるとどうでしょうか?
「購入(Purchase)」→「買う(Buy)」と言い換えることができます。
このステップを入れることで、以下のように自分の言いたいことは相手に伝わります。
「私は御社からこの商品を購入しました」を “I bought this from your company.”
次回、ドンピシャの単語が見つからなくて困っている場合、英語で悩むのではなく、「日本語を簡単に」してみてください。
状況・状態をより具体的に考える
日本語は「空気を読む」ハイコンテクストの文化と言われています。
そのため、日本語には日本語特有の表現があり、英語に訳すときにドンピシャの単語が見つからずに頭を抱えてしまうことがあります。
例えば「よろしくお願いします」や「ご馳走様でした」などです。
「よろしくお願いします」を例にもう少し「状況を具体的に」考えてみましょう。
仮に、今後新しくレッスンを受けるネイティブの英会話の先生に「よろしくお願いします」と伝えたいとしましょう。
この時の「よろしくお願いします」には、どんな意味を込めているかをはじめに考えます。
「これからレッスンを受けることを楽しみにしています」や「分からないことも多いのでご指導ください」かもしれません。
状況を具体的に考えて、「要は何を言いたいのか」を考えたらそれを英語にしていきます。
「レッスンを受けることが楽しみ」であるならば、”I’m looking forward to taking your lessons” と言うことができます。
一方、「分からないことも多いのでご指導ください」であれば、”I’m a beginner so please teach me many things about English” かもしれません。
自分が何を相手に伝えたいのかを「より具体的に」考えて英語にすることがポイントです。
まとめ
英会話における「語彙力」は2種類に分かれるので、ご自身にどちらの語彙力が不足しているか見極めてみましょう。
会話の場合、単語を知らないことが原因ではなく、「知っているのにまだ使えていない」だけであることがほとんどです。
会話で使える語彙力を増やすには、まず自分の「使える単語」を増やしながら、「知っている単語」も少しずつ増やしていきましょう。